論文優先とか言わないで。

どうも、研究者の端くれNicです。

ものすごく気になるニュースがあったんで、コメントします。

新型インフルエンザの関連で、こんなニュースが出てました。


 新型インフルエンザに感染した大阪府内の40代の女性から検出されたウイルスで、治療薬タミフルに耐性を示す遺伝子変異が確認された問題で、府が今月2日の記者会見でこの件について公表する前に米国の医学誌に論文を投稿していたことが5日分かった。府健康医療部の大下達哉副理事は「意図的に投稿を優先させ、公表を遅らせたわけではないが、結果的に批判を受けても仕方がない対応になってしまい申し訳ない」と釈明している。府によると、府立公衆衛生研究所のウイルス解析で、6月18日にタミフル耐性を示す遺伝子変異を確認した後の24日に、研究所の職員が医学誌にこの結果を記した論文を投稿したという。府は6月18日の時点では遺伝子変異について発表はしておらず、7月2日の会見で、発表が遅れたことについて「遺伝子自体が変異しているかどうかを調べる手法の検討に時間がかかった」「確実に耐性ウイルスと分かった時点で発表するつもりだった」と説明していた。この会見についても、7月1日に報告を受けた厚生労働省から「早く公表したほうがいい」と勧められたため開いたものだった。(7月5日11時58分、yahooニュース/産経新聞ネット版)


これに関連し、重要な情報だと思ったのがρ(・д・*)コレ↓


 府によると、府立公衆衛生研究所の職員が6月18日にタミフル耐性を示す遺伝子を確認。22日に府に連絡し、24日に米医学誌に耐性遺伝子の解析結果を示す論文を投稿した。今月5日現在、論文の発表時期はまだ決まっていないという。
(7月5日13時10分、yahooニュース/時事通信




「研究し、論文を投稿すること」と「対外的に公表すること」というのは別もんなんですわ。で、大事であればあるほど、「研究」と「公表」は別の人がやるような仕組みになっているんです。研究は、研究者がやりますけど、「対外的に公表する」のはいわゆる事務方さんで、この場合には、所内の会議とかいろいろ通す必要があったんでしょうね。で、研究者が結果を得て、それを事務方に速やかに報告しても、「対外的に発表するための」会議のメンバーの認識が甘いと、会議の開催が遅れ、結果、さらに発表が遅くなるんですよね。

この記事のタイムスケジュールを見る限り、タミフル耐性の遺伝子を発見した研究者は、わりと速やかに「府」に連絡してるっぽい。連絡を受けた後、すぐに公表するナリの対応をしなかったのは「事務方さん」なのでは?と思います。

想像するに、この”発見”に携わった研究者は、前々から論文の準備をしていたんだと思う。
いつ、タミフルに耐性のあるウィルスが出てもいいように。
万が一、出たら、すぐに論文を投稿できるように。
以前から、タミフルに耐性のあるウィルスが出てくるのは時間の問題って言われていましたもの。あちこちのニュースで、添え物のように伝えられていたのを目にしました…。


以上をもってして思うに、「意図的に投稿を優先させ、公表を遅らせたわけではない」というのは真実でしょうね。


論文を優先させたわけではなくて、研究者は前もって論文の準備をちゃっちゃと進めていたのに、事務方の対応が後出に回ったので、結果、論文の投稿が先になり、公表の方が遅くなった、ってことなんでしょうね。


研究者の肩を持ちすぎ?


そうですかね〜。
(▼-▼*)


研究者の対応のまずさをしいてゆうなら、研究者が「タミフル耐性ウィルスが出るのは時間の問題なので、出たときの対応を出る前から考えておいてください」と事務方に警告しなかったことでしょうか?


えーでも、さぁ、関係各者は、ウィルスの遺伝子的変異の早さの知識やそれくらいの危機感はお持ちでも当然なのでは???と、思うんですが…、ねぇ。
(▼-▼*)


うちは、事務方を批判したいんじゃないです。改善してほしいだけなんです。

この件で、いちはやく論文にした研究者を責めないでほすぃっ。むしろ、そのすばやさに脱帽しちゃうくらいなのに…。

それよか、どうか、事務方の対応のトロさをなんとかしてほすぃ・・・そこを改善してほすぃと、切に願っているのです。


しかも、論文のほうは、まだ受理されていないっぽいじゃん?査読中なんだろうけどさ…。
つぶれないで!しっかり!